翻弄と執着、そして形勢逆転 - HiHi Jets 「baby gone」の詞に寄せて

HiHi Jetsに転がり落ちてどうやら半年以上が過ぎたらしい。だからというわけではないが、かねてよりずっと書きたかった「baby goneの歌詞をひたすらこねくりまわす記事」を書こうと思う。これで定期的にTwitterで騒ぎ出す癖も治まるでしょう。(果たして本当にそうか?)(こまけぇこたいいんだよ)

楽曲の動画はこちら。見ていない人は見てから読んでね。

www.youtube.com


で、書く前にいちど自分の過去のツイートを確認しておこうとおもってツイログを遡ったのですが、何度か話をした痕跡はあるものの「歌詞の表記がめちゃくちゃ」とか「昨日の夜のわたし様子がおかしい」とかいう理由でツイ消ししてるみたいなので(記憶なし)参考ツイートはございません。歌詞の表記はわかるけどTwitter上での自分の様子なんか気にすんなよ……。

ヨシ。
ほんじゃあ本題に入ります。日本語の二人称がRap詞内にしか出てこず、一人称に至ってはなんと出てきませんので、便宜上「僕」と「君」で表記します。でも意訳の二人称はあなたが多いかも……。あと英語に自信がないので間違ってたらそっと教えてください。

では注意書きをひとつ。
この記事内で「怖い」は誉め言葉です!!!!!!!!
(不快になりそうな方はこの時点でブラウザバックをお願いします)

 

baby where you gone
where you gone I'd love to know
baby where you gone
where you gone gone gone gone gone gone

baby where you gone
where you gone I'd love to know
baby where you gone
where you gone gone gone gone gone gone

主旨は「ねえどこに行ったの? あなたのことを知りたいのに」といった感じ?

いきなり失踪している「君」。場面がとんでいる感じがありますね。
「gone gone gone gone gone gone」と畳みかけるところが「ねえねえねえねえねえねえ」と問い詰めるような恐怖を感じさせてめっちゃ怖い(頭痛が痛い構文)。

「愛しているのに」とかじゃなくて「知りたいのに」というところから、知り合ってすぐ、かつ「君」が何も教えてくれない、というのを感じて最高。
そして「I'd like to know」ではなく「I'd love to know」であるという点。ふんわりと後者のほうが強いんじゃなかったかな~とおもいながらググると、前者は「できれば知りたい」後者は「ぜひとも知りたい」だそうです。正直めちゃくちゃ興奮した。「知りたい」というよりはもはや「教えて」といった方が近いのかもしれない。

 

give me, give me I'm lovin you 気づいて
feel me, feel me この気持ち届いているかな
falling, falling もう恋に落ちている
love me, love me 始めようよ we're gonna do it right

「気づいて」→「この気持ち届いているかな」→「もう恋に落ちている」→「始めようよ」
日本語部分をたどるだけでどんどんかわいげがなくなっていってかわいい(矛盾)。
「この恋に気づいてよ、届いているかな……」としおらしさを見せたかと思いきや、「もうあなたも恋に落ちているでしょ、始めようよ」ときた。なんという自信。

「与えて」→「感じて」→「落ちて」→「愛して」
だんだん要求が過激になっていくのもよし。最終的に「愛して」と心まで欲しがっているところがたまりません(趣味)。

そしてきわめつけの「we're gonna do it right」。
「we're gonna do」が「僕たちは(そう)するつもりだ」。この「そう」というのは直前の「始めようよ」にかかっているんだとおもいます。「始めようよ」と提案しておいて「僕"たち"は始める」と断定しているあたりものすごい自信。
で、とくにコンマがあるわけではないので「right」の扱いが難しいな~と思ったんですが、前半と繋げると「僕たちはそれを正しくする(つもりだ)」と訳せてしまってなんとな~くわからないのでわけました(私情)。
まとめて訳すと「僕たちはそうする、それが当然」となります(たぶん)……ウワッ怖……。

 

苦しくたって それすら愛しい walking in the light
パズルのような 人混みをかき分けていく
go go gotta know you even more

「苦しくたってそれすら愛しい」の部分はわかりやすいですね。前述のとおり「君」に恋した「僕」は愛してほしくて猛アタック。強気で自信ありげな様子だがやっぱり苦しい。それでも「君」が愛しい……。だとおもったのですが、ちょっと引っかかるのが「苦しくたって愛しい」ではなく「苦しくたって"それすら"愛しい」である点。この「愛しい」ってもしかして「君」ではなく「苦しみ」にかかっているのでは?「君」に愛されたいが故の「苦しみ」なので「苦しみまでひっくるめてあなたが(もしくはあなたを愛することが)愛しい」と考えるとなんだかいいですね。「君」に愛されるためなら苦しむことすら愛せる、という感じの。ウーン、いい。

「walking in the light パズルのような 人混みをかき分けていく」
これまで感情の描写が中心でしたがここで急に状況の描写が入ります。「in the light」とあるので夜の街かな?「パズルのような人混み」をぬけて誰もいないところ(=ふたりきりになれるところ?)へ向かう。「パズルのような」っていうと相当人の多い……これマジで出会ってすぐみたいな気がしてきたな。ひとめぼれして猛アタック、そして絆される「君」。そんな感じな気がする。

ほんでもって「go go gotta know you even more」
「gotta know you even more」の部分は「もっとあなたを知らなきゃいけない」といったニュアンスですが、「go go」の部分が難しい。「行こうよ」と誘っているのか、はたまたただ「gotta」の最初の音であるから入っているだけか……(参考: make you wonder)前者の方が楽しいから前者ということにしましょう。
ということでここは「ねえ行こうよ、もっとあなたを知らなくちゃ」と出会ってすぐの「君」にぶつけているわけですね。う~ん、癖。

 

tell me 教えて all you are
want you baby
tell me everything let's take it far
want you, love me baby
隠さないで ready 照れないで baby
教えて all you are

「tell me 教えて all you are」
英語部分を訳すと「教えて、あなたのすべてを教えて」。とにかく「僕」は「君」のことを知りたくてしょうがない!

「want you baby」
訳すと「あなたがほしい、愛しい人」でしょうか。「baby」ってよく使われるけどどう訳すんやろな~っと調べたところ、「愛しい人」が一番しっくりきたので採用しました。

「tell me everything let's take it far」
前半「tell me everything」が「すべてを教えて」なのは間違いないと思うんですけど後半が全然わかりません!!(GTEC3割)
いやマジでわからん。G〇〇gle翻訳だと「遠くまで行こう」なんですけど、「take」ってこんな意味やったか?とおもって「take it far」で翻訳すると「遠ざけて」となるのでやっぱなんかちょっとニュアンスが違う。で、「take it」にしてみると「それを取る」。自動翻訳では「let's」をつけるとニュアンスが変わってしまっている感じがします。
となると「すべてを遠ざけて」とすることで「余計なことは忘れて」みたいな感じになるかな?とおもったのですが、今度は「everything」が2回出現してしまっており……まあこれはどうにでもなりますわということで採用!
というわけで訳をまとめるなら、「すべてを教えて、(余計なことは)遠ざけて」といったところでしょうか? 独占したがりでかわいいですね。

「want you, love me baby」
訳すと「あなたがほしい、愛してよ、愛しい人」。うん、ドストレート。良。

「隠さないで ready 照れないで baby」
こ!!!こ!!!!!問題のシーンはこちらになります。
「ready」は直訳すると「準備ができる」なので「準備はいいよ」、もしくは疑問形で「準備はいい?」とかでしょうか。お伺いをたてています。「baby」は今まで通りだとすると、「隠さないで、準備はいい? 照れないでよ、愛しい人」となります。ヒィ……。

「教えて all you are」
日本語にすると「あなたのすべてを教えて」なのでこの節の最初に戻ります。

フウ!!!書くのにメチャ時間がかかりました。
全面的に「君」を暴きたいという様子が伺えます。おそらくシーツ上の出来事なのでいろんな意味でとにかく「君」を知りたい。いまは「僕」のこと以外考えないでほしい。
また、「tell me」「教えて」から暴こうとしつつも「言わせたい」という欲求があるように思えます。わ、わがまま……。恥じらってか全然教えてくれない「君」に痺れを切らして迫る「僕」。といった感じですか? なんとまあ……なんということだ……。

 

I say, you follow me 抜け出せない罠
身勝手な貴女 I need now
焦るほどに絡まっていく頭 not enough for you?
tell me, tell me, tell me, how much love
逃げないで girl 心狙って burn

ここをいちばん書きたかったッッッ!!!!!!

「I say, you follow me 抜け出せない罠」
ここでの「follow」は「従う」の意でしょうか? よって「follow me」は「従え」、おそらく「I say」は状況説明なので訳さないとすると、「僕に従ってよ」。これに「抜け出せない罠」が続きます。おわかりでしょうか。「従って」と強気に出ているにもかかわらず「君」の罠にかかって踊らされている感覚がある。

ほんでもって「身勝手な貴女 I need now」。
何も言わずとももう最高。ずっと強気に迫っている「僕」を焦らしてその実像をつかませてくれない「身勝手な貴女」。それでも「I need now」、つまり「僕にはあなたが必要」。ひたすら翻弄されたって「あなたが必要(= だからあなたがほしい)」ということですね。
「苦しくたってそれすら愛しい」をじんわり踏襲しているような気もします。

からの「焦るほどに絡まっていく頭 not enough for you?」。
「not enough for you?」は直訳すると「あなたには十分じゃないの?」。言い換えるなら「(こんなに尽くしているのに)まだ足りないの?」といった感じでしょうか。靡かない「君」に焦り、混乱して手だてをなくし、「まだ足りないの?」と問いかける。

そして「tell me, tell me, tell me, how much love」。
「how much love」は直訳すると「どれだけの愛」ですが、わたしは「どれくらい(僕のことを)愛してる?」と疑問形で解釈しました。ということで「教えて教えて教えて、どれくらい愛してる?」
怖ッッッ!!!! コワポイントがたくさん詰まっているこの楽曲ですが、わたしがいちばん怖いとおもっているのはここです。「どれくらい僕のことを愛してる?」ってそりゃ円満カップル間なら特に怖くない会話ですが、このシチュエーションはわたしの解釈だと出会って数時間です。出会って数時間、迫る自分をひらりとかわすつかみどころのない相手に向かって「どれくらい僕のことを愛してる?」ときた。もう最高です。こういうの大好き。

で、最後に「逃げないで girl 心狙って burn」。
ここまでずっと翻弄してきた相手の急な「どれくらい愛してる?」発言に動揺して揺れる「君」。その隙を逃さずその心に決定打を撃ち込む「僕」。
じゃあその決定打ってなんだ?といろいろ考えてみたのですが、「girl」がポイントかなあという結論に至りました。これまで「baby」だった呼び方が急に変化。しかも「lady」ではなく「girl」。押してダメなら引いてみろというか、ずっとグイグイ迫っていたのを優しく、女の子扱いでかわいがってみたのではないでしょうか。妄想です。妄想ですがここまでの迫りをかわしていた「君」を撃ち抜けるのはこれくらいしかないのでは……?

といったぐらぐら揺れる「僕」の心情、そして「君」を靡かせてその心を撃ち抜くまでの過程が綴られているわけですがこの部分、作詞が猪狩蒼弥……。
ここだけ作者が違うということを考慮して一旦隠して考えてみると、ラップの前後で完全に形勢が逆転しています。逆転する流れが描かれているのがこのラップ部分なのだろうか、と考えております。Rap作詞が楽曲作成のどのフェーズで行われたのかわかりませんが、ストーリーが完璧に成り立っているのでヤベェなとおもっている次第です(語彙…)。
ちなみに、全体の解釈をするときの二人称として「貴女」を採用しなかったのは作者が違う部分だからです。イェイ。でも採用しても良かったかなと今更ながら……結局「あなた」連呼しちゃってるし……。

 

say you want me now 

ここ!!!!ここは「how much love」の次に怖いとおもっています!!!!!

日本語にすると「今すぐ僕がほしいって言って」。怖!!!! さっきまで「あなたがほしい」って言ってた相手から急に出る「僕がほしいって言って」。しかも「今すぐ」。あまりにも最高。最高すぎて涙が出る。優位になった途端にめちゃくちゃ強気に出るの最高です。最高しか言えねぇ。

 

tell me 教えて all you are 教えて all you are
tell me 答えて all you are 答えて all you are
tell me 教えて all you are 教えて all you are
tell me 答えて all you are

見たまんまですね。
この「答えて」は「say you want me now」にかかっていると考えています。「早く言ってよ」みたいな。で、畳みかける。

 

tell me 教えて all you are
want you baby
tell me everything let's take it far
want you, love me baby
隠さないで ready 照れないで baby
教えて all you are 

和訳は上と同じ! ただ間の過程を経たので上よりは懇意になっていそう。

 

baby where you gone
where you gone I'd love to know
baby where you gone
where you gone gone gone gone gone gone

baby where you gone
where you gone I'd love to know
baby where you gone
where you gone gone gone gone gone gone

主旨は上と同じく「ねえどこに行ったの? あなたのことを知りたいのに」といったところ。そう。目を覚ましたら「君」がいない。「まだ知りたいことがあるのにどうして?」といった感じでしょうか?

これが冒頭につながって相手を変えながら無限ループするとしたらめちゃくちゃ怖い。が、たぶんそこまで怖い歌じゃない気がするので無難に失恋エンドかな? でもループエンドでも大喜びです。真実はわかりませんが……。


……ハイ!!!!おつかれさまでした長!!!!!!!
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。ご意見ご感想お待ちしていますので良ければTwitter(@sulp1000)へどうぞ~~~~!!!

 

 以下見んでいい妄想。ループエンドの何が最高ってこれだけ毎夜毎夜出会ったばかりのひとに執着するわけですからいなくなった(= 捨てられた)と気づいた時のダメージ半端ないとおもうんですよね。で、新しいひとを探してはまた捨てられる。こんなことしてる時点で精神に何らかの傷を負ってそうですがそれがどんどん深まってゆくわけです。「起きたらいない」と思うとだんだん眠れなくなりそうですね。これほぼ愛〇コマ〇〇やんけ。
で、あるときやっと次の朝も一緒にいてくれるひとに出会えてめちゃくちゃ優しくされたらこの子はどうなるんでしょう。たのしみです(???????)。